2013年6月6日木曜日

イマジン|中之条ビエンナーレ2013参加



「中之条の町に星の家を作る」
夜空に輝く満天の星と、それらのひとつひとつを結びつけ、ある図像を立ち上げる想像力。天を見上げながら星を繋いでいく行為の起源は古来エジプトまで求められ、星座は現在においても季節と時間を知るための指標であり、神話の投影であると言えるでしょう。あるいはこうも言えるかもしれません。それは人が想像力によって描き出す天空の絵画であると。

市川裕司《ソラ》バーチカルブラインド・アルミ箔、224.5×341cm2013

多田さやか、タイトル未定、出品予定作品下絵

日本画出身者によるプロジェクトグループ・イマジンは、中之条ビエンナーレ2013に「中之条の町に星の家を作る」というプランで参加します。会場は、六合・暮坂エリアにある2階建ての元民宿・十二みます。1階の土間と座敷には来訪者参加型インスタレーション「みんなの星で銀河を作る」と多田さやかの大作を、2階の客室には天文民俗学者・野尻抱影(1885-1977)氏の著作『星三百六十五夜』(1955年)から着想を得た作家12名の作品を展示し、群馬県北西部に位置する山間の町・中之条町に、星降る家を出現させるという試みです。

『星三百六十五夜』はその名のとおり、1年間365日分の星にまつわる随筆が収められています。もともと野尻抱影氏は、毎夜の観察によってそれらを収めることを目的としていたようですが、居住していた関東地方の気象ではそれがかなわず、戦前からの日記や思い出を補いつつ、おおよその月日にあたる星座や星を配し、愛誦する唐宋の詩、西詩、ギリシア・ローマ古詩の初訳など星にちなんだ文学も挟みこんでいます。それは、「星」をめぐる、豊かで、巨大なデータベースを形成していると言えるでしょう。


2階展示作品のアイデアソース、野尻抱影『星三百六十五夜』(恒星社厚生閣版、1981年)

今回私たちは、この『星三百六十五夜』の、それぞれの誕生日にあたる随筆を読み解き、創造の大きな源として作品を制作しました。たとえば、16日生まれの忠田愛が担当したのは、同日に書かれている「雪晴れ」と題された文章です。子どもが数日前に生まれたばかりで落ち着かず、妻子と母を置いて学生と温泉に出かける野尻氏が、夜空に寒々ときらめく一升星(スバル)に自身の心境を重ね合わせている。そんな光景を忠田は、母子に着目し、「冬の星」と題した母子像を描き上げました。会場では、こうして野尻抱影氏の随筆をアイデアソースとして作家12名が制作した作品に加え、それらの作品を元にした日本近現代美術史研究者・小金沢智の文章も展示します。

忠田愛《冬の星》和紙・墨、ガッシュ(白)・木炭・鉛筆、25F2013


いずれも作家個人の作品として独立しながら、星をテーマにしているという共通点を持ち、ここに訪れた方々があたかも夜空に星座を見つけるように、一軒の家屋の中で作品同士の繋がりを発見して欲しいと願っています。


会場の元旅館を側面から、2012年12月


イマジン参加概要
【展示会場】十二みます:群馬県吾妻郡中之条町入山4049-28
【プラン】「中之条の町に星の家を作る」
【参加メンバー】市川裕司、大浦雅臣、加藤優花、加藤由紀、小金沢智、菅原有生、多田さやか、忠田愛、西川芳孝、福田浩之、松川はり、Emily Miller、渡邊透真/13名

「中之条ビエンナーレ2013」概要
【会期】2013年9月13日(金)〜10月14日(月祝)
【展示会場】群馬県中之条町 町内6エリア37ヶ所
【イベント内容】温泉街や木造校舎など町内各所で絵画・彫刻・写真・インスタレーション等の展示、オープニング・クロージングイベント・舞踊等のパフォーマンス、建築館サテライト企画、伊参スタジオ映画祭タイアップ企画、作家によるワークショップを開催。展示会場を巡るバスは土日祝日に運行予定、ほか各種イベントを多数企画。
【パスポート】当日1,000円・前売り800 / 高校生以下 観覧無料 詳細は71日に公開
【アクセス】
・ お車の場合 – 関越自動車道「渋川伊香保I.C」より40
・ 高速バスの場合 -「東京駅」「新宿駅」より直行便で3時間
・電車の場合-上野駅より特急草津で2時間
公共交通で六合(くに)地区へお越しになる場合は、「長野原草津口」駅より路線バスをご利用ください。(運行数が少ないのでご注意ください。)
【お問い合わせ】中之条ビエンナーレ実行委員会事務局(SATORI)
377-0424 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町926-1
TEL/FAX : 0279-25-8500
email : biennale@town.nakanojo.gunma.jp
【公式サイト】http://nakanojo-biennale.com/

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

昨日、というか6日に、知り合いの方が、花楽の里に出展していたので、行って見てきました。
十二みますは、外の造形物だけだと思っていたので、家の中は危うく見落とすところでした。
非常に印象に残りましたので、家に帰ってから、ネット検索して、ここにたどりつきました。
特にショートショートは、よかったので、絵と共にじっくり読んでみたいと思いました。
不思議だったのは、山の稜線の十字架(だったかな、三角だったかな)、あれはどこにあったのか。障子の破けたようなのが、山の稜線としても、十字架(だったかな、三角だったかな)は? まさか電信柱?